60mm迫撃砲弾のレストア【ぴかぴかにしてみた編】

まずは固着を解いて完全分解し、塗膜を落とします。

 60mm迫撃砲弾のレストアに着手してかれこれ2年になります。これまでご報告した記事です。

 京都に住む知人(自分はスーパーマンと呼んでいる)から設備の整った彼の工場で砲弾をレストアすることを提案してもらい、手許にある砲弾類を彼の工場に送ったのが今年2月のことです。お互いの都合がついて、作業に着手したのが今年10月、その後、12月に再び京都を訪れる機会を得て、作業を進めることができました。

 レストア対象の砲弾は、戦後に自衛隊が演習で使用したあとに回収し、鉄屑として払い下げされたものです。リエナクトメントを念頭に、第二次世界大戦の米軍時代の姿にするには、いちど完全に分解して、欠損した部品や火工品類を補ったうえで再塗装をする必要があります。しかし、放出砲弾は、たとえ原形は保っていても変形や経年で固着しています。そこで、まずは注油と熱処理を駆使して固着を解いていきます。

 注油したあとにバーナーで真っ赤になるまで炙り、万力で廻すと、おもしろいようにくるりと外れます。信管、弾体、尾翼と、推進用のカートリッジを装填するプラグを外し、その後に塗膜を落とします。彼の工場には、塗膜や錆をきれいに落とすことのできる機械があります。

 分解後に塗膜を落とした砲弾です。上が照明弾、下が榴弾です。ぴかぴかです。塗装も錆も汚れも、また、分解時にバーナーで炙った熱処理の痕もすべて落ちて、新品の輝きです。

 尾翼の底面です。榴弾と照明弾の尾翼は共用です。穴には推進用のカートリッジを挿入し、ネジ式のプラグをはめます。穴のなかも新品のようにきれいになりました。

 推進用のカートリッジを留めるプラグです。プラグにはパーカッションキャップを入れて装填します。撃発によってパーカッションキャップからカートリッジに点火する仕組みです。真鍮製のプラグも、このように新品の輝きになりました。

 再生予定の榴弾9発(奥)と照明弾7発(手前)です。榴弾のうち2発は完全分解ができませんでしたが、少なくとも信管と尾翼が外れた7発はパーフェクトな形でレストアができそうです。手前の照明弾は弾体の材質(アルミ)で固着を解くのが難しく、尾翼が外れたのが2発だけです。ただ、照明弾は推進薬の増分フォルダを付ける必要がないと考えれば、たいした問題ではありません。左奥に見える水色の訓練弾は塗膜を落とし、WW2時代の黒塗色に戻します。

 完全分解ができない榴弾を引き取ってきました。信管の台座と尾翼が外れません。今回のレストアは、ベークライト信管のタイプを再現するため、この固体はアルミ信管の初期型として再生することにします。

先頭に戻る