30口径機関銃弾薬梱包のリベンジ(作業編)

ついでなんで50口径もつくりました。50口径の木枠梱包の再現は見たことないので、もしかしたら地球上で自分だけかもしれません。

 前回の「蘊蓄編」で、再現すべき梱包の様式が定まりました。本稿では実際に作業手順をご紹介します。

 再現すべき梱包は、補助支持架ありのタイプで、44年頃に生産された焦茶色のステインタイプとします。マーキングは43年に装填種別の識別標識が採用されていますので、それも再現していきます。また、30口径と同時に50口径の梱包も再現します。

 板材は梱包重量区分に近い、厚さ7ミリの杉の薄板です。一般には流通していませんが、運良く県内の木材業者さんから購入することができました。もともとは木造家屋の天板につかう材です。現物のアモカンにあわせて図面を作成し、板材をカットします。側面の支持架は両端を斜め45度でカットしています。

 今回つかった板材はプレーナー仕上げがされていません。板の表面の凹凸は、最後のマーキングを再現するときのスプレー塗装に影響がありますので、表面を研磨します。左が購入時のままで、右が研磨済みのものです。グラインダーでざっとやっただけなので、見た目はあまり変わりませんが、この前処理はけっこう重要です。

 44年製造タイプを再現するため、ステインによる偽装塗色を施します。こちらの記事でご紹介している「お歯黒ステイン」です。今回は刷毛塗りではなく、実物に準じてドブ漬けでおこないました。

 乾燥させた部材です。タンニンの含有量が少ない部分が白っぽいままです。この展開図で組んでいきます。

 30口径のアモカン4缶をならべて、設計通りに収まるか確認します。問題ありません。

 部材を組んでいきます。針金を通して、ステープルで固定するだけのシンプルな構造です。針金は板厚同様に梱包総重量に対応した番線が指定されています。今回は15番(径1.8mm)の針金をつかいます。針金を留めるステープルは、当時のものが又釘のような形状であるため、今回の再現では又釘をつかうことにします。脚が板の裏側に飛び出しますので、ニッパーで脚を切っていきます。

 マーキングです。スタンプのかわりにシートをカッティングプロッタで出力します。今回は30口径弾薬梱包を2種類、50口径弾薬梱包を1種類の計3種類で再現します。ロット番号は正確を期すため、Christopher R. Van Valkenburgh “U.S. Military Small-Arms Ammunition Lot Numbers 1928-1945“を参照しています。

 シートを貼り付けた状態です。ここからマスキングをおこない、黄色のスプレー塗料でマーキングを再現します。シートの貼り付けとマスキングは地味に時間がかかる作業です。この写真のシートを貼って、必要なマスキングをするのに、おおむね1時間かかります。

 黄色のスプレー塗装後に展開した状態です(50口径用)。中央に2本の針金を通して留めれば完成です。

 50口径のアモカン2缶を入れてみた状態です。設計通りにジャストフィットです。

 30口径も出来上がりました。

 30口径(左)と50口径(右)の側面に再現した識別標識です。両者ともに布製弾帯に装填された機関銃弾薬であることを示しています。

先頭に戻る