ブローニング30口径機関銃のメンテナンスに利用された携行式オイル缶には円筒形のものと箱形のものの2種類があり、いずれも第二次大戦時に使われました。今回は円筒形のものを入手しました。錆が出ているのでキレイにします。
この油缶は正確には歩兵火器用で機関銃向けに使用が限定されていたわけではありません。小銃や分隊支援火器(BAR)、60ミリ迫撃砲の備品でもあります。ただ、ライフルの銃床に専用の小型ボトル式のオイル缶が収納されたこともあり、機関銃用としてよく使われたようです。
クラシックな雰囲気です。ボトル本体はブリキ製?、注油口の金具はネジ式で、真鍮と銅で出来ています。化繊のパッキンも残っています。写真で見ると、それほどひどくないように見えますが、ボトル本体にはかなり錆が出ています。70年以上前、おそらく80年近く経ていますので、この手のもので綺麗なママというのはほとんどなく、これでも錆で深い腐食がないだけマシな方でしょう。とはいえ、表面錆がこのままでは雰囲気が台無しですので、リペイントすることにします。
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錆は耐水ペーパーで塗料と一緒に削り落とします。100・180・320・600・1000番の順でかけていき、最後に手元にあった除光液で油脂と一緒に削りカスを拭き取ります。写真は、作業前のものと耐水ペーパーで錆を落とした後のものを並べたときの様子です。左が錆を落とす前、右が錆を落とした後です。右の方が左よりももう少し錆が多かったのですが、錆はすっかり落ちて、金属の地色も出てきれいになりました。これにペイントしていきます。
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模型用のエアブラシを使用して、オリーブドラブでペイントします。模型とは違い、プライマー・サーフェイサーをかけずに、塗料をそのままかけていきます。注油口はマスキングテープで留めておきます。 塗料がしっかりと定着してから布で少し磨こうと思います。それまでに、注油口の金具をキレイにしましょう。
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注油口の金具です。作業前と作業後の比較写真。酸性の液体にドボンと入れてしまうとラクですが、化繊のパッキンが付いていますので、今回は金属磨きで汚れをこすり落とすだけにします。ダイヤルの部分などは黒ずみが残ったままですが、金具に真鍮の輝きが戻りました。防錆潤滑剤をかけておきます。
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作業が完了して、注油金具を取り付けました。きれいに生まれ変わりました。
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メンテナンスの風景を再現した様子です(予備パーツ類がないですが…)。オイル缶の内部は、少し錆が出ているほかはきれいですので、実際に油を入れて、無可動のメンテナンスにも使えそうです。そのうちWD-40でも入れて試してみましょう。