WWII米軍の戦地における30口径機関銃向け弾薬支給の様子を再現したいと思います。
トップの画像はバーリンデン社が販売している1/35模型のイラスト図です。第二次大戦時に米軍が採用した木製弾薬箱が描かれています(番号は私が振りました)。
このうち、30口径機関銃向けの弾薬箱は、②と⑤になります。イラストで⑤は50口径用となっていますが、30口径のライフル向け・機関銃向けも同型の木箱です。この木箱は第一次大戦から採用されているタイプで、第二次大戦でも使用されました。木箱の内部は金属製の仕切り板で密封される二重構造ですが、30口径機関銃向けについては、携行式の金属製アーモボックスが採用されるに従い、早い段階で②へと移行したようです。
30口径機関銃用のアーモボックスです。手前が金属製のM1型で奥が木製のものです。布製のベルトに250発の30-06スプリングフィールド弾を挿し込んだものを収納しました。
木製のものは水冷式機関銃の時代に採用されたもので、第二次大戦初期も使われましたが、凝ったつくりで大量生産に向かないため、すぐに手前の金属製のものに置き換えられました。この金属製のアーモボックスの採用が②の方式へとつながります。
②は通常の木箱のように見えますが、アーモボックス4つを木製の枠材でセットにしたものです。上のイラストは、1960年代の米軍教範に記載されているものです。アーモボックスの形状は変更されましたが、木製クレートの構造そのものは第二次大戦時とほとんど変わっていません。木枠のついた木板を四面を囲むように留め金で固定した針金でくくるという単純な構造です。
先ほどの⑤の木箱方式は、開梱して取り出した弾薬を携行用に詰め替えるという作業が必要ですが、この方式のように、あらかじめ工場出荷時に金属製のアーモボックスに弾薬を詰めておけば、現地で開梱してすぐにアーモボックスを携行して作戦に出発できます。非常に効率的ゆえに、この方式は戦後も受け継がれ、歩兵用小火器の弾薬が7.62ミリ弾から5.56ミリ弾に変更された現在でも踏襲されています。
WWII時代を再現するには、実物を参考に製作したいところですが、ほとんど現存していないようです。以前にeBayのオークションで枠材とアーモボックスのセットが出たことがありますが、残念ながら競り負けてしまいました…。
ただ、上記の教範にあるイラストを見ればお分かりのように、構造はかなり単純ですし、アーモボックスから全体のおおまかなサイズも割り出せます。そして、eBayに出されていた商品の左右前後からの詳細画像がありますので、そこから金具やスタンプを再現することもできます。試作品ができ次第、ご紹介したいと思います。