機関銃には耐熱手袋が必要ですね。

耐熱手袋。機関銃チームのリエナクト時には持っていたいアイテムですが、なかなかお目にかかれません。

 故リーアーメイさんが司会をやってた銃番組でおこなわれた水冷式M1917と空冷式M1919の放熱比較を、アマゾンプライムビデオで見ることができます(2022年8月24日現在)。

 撮影地が砂漠なので気温が摂氏40度ありますが、100発射撃後の放熱筒表面温度は、水冷式M1917がわずかにプラス10度に対して空冷式M1919はプラス70度です。コックオフを起こさないためにも、銃身交換による冷却が必要です。

 銃身交換は、危急時の連続射撃時にこそ必要ですが、そのときは銃身が熱く、素手では触れないので、耐熱手袋が必要です。WW2米軍ではアスベスト製のミトンが制定されていました。この写真は1943年版の補給品カタログ被服編で手袋が掲載されている頁です。右端にある「Mittens, Asbestos, M-1942」が耐熱手袋です。

 実物の写真です。アスベストの健康被害への懸念で積極的に廃棄されたのか、ほとんど見かけません。 幸運にも1年ほどで出物がありました。その後も出物はみかけません。

  内側に1943年製のスタンプがあります。戦後はアラミド繊維製に切り替えられました。形状はほとんど同じで、色は薄黄色です。

 HBOのドラマ『The Pacific』でも、重機関銃の射手をつとめる主人公(レッキー)がアスベストミトンを携行しています。片手だけのようですが、教範上は両手ペアでの携行です。ただし、左右の違いはなく、1種類の片手ミトンが2つでペアになります。右手用・左手用の区別はありません。

 勲章を授与されることになったガダルカナルの戦いで高熱の銃身により火傷した主人公(バジロン)は、その経験を活かして硫黄島上陸時には自作のキャリングハンドルを機関銃に付けています。彼が持つ空冷式M1919でもミトンは装備品ですが、 M1919は銃把を外せば、レシーバから銃身一式をそのまますっぽ抜くことができるので、ハンドルや巻き布などで放熱筒の保持さえできればミトンがなくてもなんとかなるのかもしれません。

 耐熱ミトンは米軍に限らずどの軍隊の機関銃チームでも必須アイテム(のはず)です。ドイツ軍の銃身交換用耐熱ミトンは海外でレプリカ商品が出ています。ヤフオクでも輸入して出品をされている方がいらっしゃいましたが、残念ながらあまり注目がされていなかったようです。ドイツ軍の機関銃チームを再現するときこそなくてはならないアイテムだと思います。

『ガニー軍曹のミリタリー大百科』や『The Pacific』はアマゾンプライムビデオにラインナップされています。プライム会員であれば無料でご覧いただけます。この機会に
ぜひ。

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