歩兵の腰掛け。ベンチはあれどチェアなし。

歩兵のキャンプに椅子は必要ありませんでした。

トップの写真は、BCoに入れてもらう前の、MVG2017に息子と2人でピン参加したときの写真です。テントの手前にある椅子は第二次世界大戦のアメリカ軍のものです。2泊のキャンプを寛ぐためにフランスから輸入しました。木製の折り畳み式のものです。へんな折り畳み方をする椅子で、展開するときにいつも戸惑います。

この椅子は、需品部(Quarter Master Corps)のカタログに掲載されています。制式名称を「CHAIR, Folding」、連邦在庫番号は「26-C-2280」です。

アメリカ軍でつかわれたような公用買い上げ品には、背面に連邦財産であることを示す焼印があります。

ところで、物量と輸送力が圧倒的と言われた第二次世界大戦のアメリカ陸軍でも、歩兵の第一線で椅子がつかわれたことは稀だったと思います。なぜなら、編制装備表には、中隊や大隊はもちろん、連隊にすら椅子は一脚もないからです。

1944年にフォート・ベニング歩兵学校で撮影された野戦厨房の様子です。椅子がなく、兵士らは水缶に腰掛けています。歩兵連隊が擁する支援中隊のもともとの編制装備に近い状況といえます。

先ほどのQMCカタログに掲載の椅子が「OFFICE EQUIPMENT(事務用品)」として掲載されているように(師団や軍団から支給を受けて一時利用することを除き)もともと野戦のキャンプ道具としての椅子はないのです。そこで、野外キャンプにおいて、兵士は地べたに座るか、なにかしら近くにあるものを椅子がわりに腰掛けます。

1944年に西海岸で撮影された訓練中の昼食です。みんな地べたに座っています。

1944年にフランスで撮影された写真です。右の兵士はヘルメットに、中央の兵士はレーションボックスに腰掛けています。左の兵士は地べたっぽいですね。

1944年のイタリアで撮影された食事風景です。感謝祭の特別食のようです。右の兵士はヘルメットのうえに腰掛けています。左の兵士は膝をついたままの姿勢です。

1945年にドイツで撮影された風景です。民家?から拝借したやかんを火にかけています。木箱に腰掛けています。

第一線の歩兵を再現するのに椅子は不要です。木箱などをベンチがわりにするのがよいでしょう。

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