先達の仕事。

アナログ時代に出版されたガイド本を手にすると、恐れおののきます。

 インターネットが存在する世の中になってから、情報の入手性は想像できないほど容易になりました。あらゆる情報が瞬時に(ほとんど)無料で入手できます。

 リエナクトメントについても、いまや再現の手引きとなる情報がインターネット上に多く存在します。当時の教範や公刊戦史、さらには戦闘詳報といった公文書の多くも無料のPDFで読むことができます。インターネット上にデータでは存在しないものでも、オンラインの通販やオークションによって容易に海外から購入することができます。

 ここに紹介するのは、インターネット上にデータでは存在しない資料で、海外から購入したものです。上が爆薬破壊野戦教範(FM 5-25)、下が60mm迫撃砲野戦教範(FM 23-85)です。いずれも第二次世界大戦当時の発行です。両側が本冊で発行年違い、真ん中の小冊子は本冊の訂正事項を紹介する補遺です。補遺にはかなり重要なことが紹介されています(重要だからこそ補遺が出されるわけです)。発行年の異なる本冊と補遺を把握することで、戦法や装備の変遷を正しく理解することができます。

 このような原資料にあたることで、一昔前の研究者レベルの情報収集が、自分のような素人でも可能になりました。そのうえ、ブログやTwitterなどは、双方向のやりとりが可能です。先達やプロの貴重な指摘をいただけることもできます。そんな素晴らしい時代に感謝しています。同時に、一昔前に印刷製本され、商業出版されたガイドブックを読み返すと、その凄さを実感せざるを得ません。

 トップに掲載した画像に写っている3冊の雑誌は、第二次世界大戦の米軍歩兵の装備品を紹介する日本語のガイドブックです。いずれも20年ほど前に出版されたものです。この三冊のうち、もっとも古いものは1995年の出版です。当時はパソコンによるインターネット利用がちらほら始まってきた頃です。スマートフォンはもちろん存在しません。まだまだアナログな時代です。

 いま私たちが共有している情報に照らし合わせると、確かに間違いも散見します。しかし、そもそもアナログの時代にここまで広く深く情報を収集したうえで、クオリティが高い再現写真やイラストで一冊の本としてまとめ上げた力は、本当にすごいとしかいいようがありません。

 現代の私たちは、インターネットの時代に生きることを感謝しつつ、先達の知見をアップデートしていく必要があります。この拙いブログも、少しは寄与できる余地を見出したいと思っています。

本稿でご紹介した3冊のガイドブックは、いずれも絶版ですが、古本としてAmazon.co.jpで入手が可能です。菊月氏の「二世部隊物語」は、特に入手をお勧めします。

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