30口径機関銃用弾薬箱。日本語ではぜんぶ「箱」と読んでいますが。

WWII 米軍30口径機関銃用の弾薬箱。Ammunition“Chest”と“Box”と二通りの言い方があります。区別する理由は?今昔?形状?用途の違いでした。

 ブローニングM1919機関銃の属品を集めていたら弾薬箱もだいぶ揃ってきました。トップの写真は、いずれも30口径機関銃用としてつかわれた弾薬箱です。手前の右から順に、250発木製弾薬箱、200発車載用金属缶T4、250発金属缶M1、同M1A1、同M2(同盟国生産品)、最後が戦後のM19A1。これで全てではなく、あとは駄載用などの数種類があります。

 木製弾薬箱は水冷式機関銃M1917とともに採用された古いもので、後に若干つくりが簡略化されています。写真の左が初期型、右が簡略化されたものです。木製弾薬箱はM1917という言い方もされますが、軍の正式な名称としては「Ammunition Chest」型番は「49-1-84」です。

 さて、これらは日本語ではすべて「弾薬箱」と呼びますが、 英語の表記では「Ammunition Chest」と「Ammunition Box」と区別されています。トップの写真にある弾薬箱の並びで言うと、右から2つ、木製弾薬箱と金属缶T4までは「Ammunition Chest」で、250発用の金属缶M1以降は「Ammunition Box」です。

 この区別は機能の違いに由来しています。 弾薬を詰め替えして繰り返し使う弾薬箱、いわば兵器の属品として扱われるものが「Chest」で、再利用を考慮しない弾薬箱が「Box」です。日本軍でいう「弾薬箱」と「補給用弾薬箱」の区別と同じといえます。

 これは弾薬教範に掲載されているイラストです。地上戦用の30口径弾薬は、初期は左の1500発入り木箱で支給されていました。この木箱は「Box」です。 戦地で兵士が「Box」の木箱を開梱し、中から弾薬を取り出して「Chest」の 弾薬箱に詰め替えて作戦に出発しました。

 1942年に金属缶のM1が採用されて右のような梱包に改められました。250発入り金属缶4つ、計1000発の木枠梱包です。これは金属缶を「Box」、木枠を「Crate」と呼びます。この方式は木枠を開梱したら、そのまま金属缶を持ち出せるためにとても効率的で(防水防滴機能もあります)、現代に至るまでこの方式が踏襲されています。

以前に金属缶M1用の木枠梱包を再現しています。記事はこちら。
30口径機関銃弾用の木製クレート製作 #3

 金属缶M1は「Box」ですが、そのまま作戦に搬出できるので、「Chest」型弾薬箱に詰め替えが不要です。 金属缶が「Box」であると同時に「Chest」としての機能も果たすようになったわけです。これ以降、30口径機関銃用の「Chest」は存在価値を失います。実際に金属缶M1が登場して以降、歩兵の軽機関銃に使用する「Chest」は属品として存在していないと思います。

 50口径重機関銃も似た状況ですが、一部で「Chest」は残っています。対空マウントで四連装の機関銃に装弾する“墓型”弾薬箱です。

M1919機関銃用の木箱を再現する。

WWII時代にミシガン州サギノーのGM工場で生産されたM1919A4が工場出荷された時の木箱を再現しました。

 ブローニングM1919機関銃用の木箱は海外でもDIYが盛んです。ネットで調べると、だいたい銃と三脚と弾薬箱が一緒に入ってキャスターが付いている。射場への持ち運びしやすい利便性を重視しているのでしょう。

 撃つ必要のない無可動。ここはやはりオリジナルに近い形で再現したい。ただ、戦地では基本的に機関銃の木箱は、保管収納する必要がある艦船を除けば軍用としては存在しません。唯一、工場出荷時のものがあるだけです。その木箱も戦地では薪や木工材料として解体使用されたでしょうから、現存するものはほとんどないようです。

 地上戦用として出荷された機関銃の木箱で確認できるのは2種類あります。縦置きで収納するタイプと横置きで収納するタイプ。縦置きタイプは戦中で、横置きタイプは戦後バージョンです。今回は縦置きタイプを製作しました。

 ステンシルはミシガン州サギノーにあったゼネラルモーターズの工場で生産されたM1919A4用の木箱を再現しています。「30 BMG」「M19A4」「MICH」など、文字が省略されているのは実物に倣った通りです。

 ところで、銃身に対して木箱が大き過ぎるのでは?と思った人は勘がいいです。この木箱は水冷式M1917機関銃と共用でした。第二次世界大戦後に水冷式が廃止されると、木箱はM1919にあわせて横置きタイプのスリムなものになりました。

 木箱にはかなりのクリアランスがあるため、このように二脚や属品も一緒に収納できます。

 今回製作した木箱は、無垢板の反りで隙間が目立つうえ、間仕切りも本来の溝継ぎを省略しています。出来は甘いですが…見た目の雰囲気は良いと思います。

マーキング再生は下記のブラザー社製のカッティングマシンを使っています。WWII時代のマーキングはステンシルではなくスタンプが多いので、スタンプを再現する際にカッティングマシンは重宝します。

30口径機関銃弾用の木製クレート製作 #3

前回の試作から2年近く経ってしまいましたが、木製クレートの着色バージョンを製作しました。

 第二次大戦時の米軍では、戦地への30口径弾の支給を当初は木製の箱型ボックスで行っていましたが、250発入りの金属缶(“Cal.30 M1 AMMUNITION BOX”)の採用により、このような4缶を1セットにして木枠で固定した方式に移行していきました(木箱方式も特にライフル用の弾薬支給では継続されています)。

 この木枠方式は、木枠のついた木板を四面を囲むように留め金で固定した針金でくくるという単純な構造ですが、現地で開梱してすぐにアーモボックスを携行して作戦に出発できるという点で極めて合理的で、現代に至るまで、ほぼ同様の方式が踏襲されています。

 今回、再現したのは、茶色に着色したバージョンです。木箱方式も同様に、このように茶色に着色されたバージョンが存在します。使用した材料は、木板は合板ですが、着色したことで切断面の合板らしさが目立たなくなりました。

 前回の試作時の課題だったマーキングも、黒についてはステッカーで、黄色についてはスタンプらしさを出すためにスプレー塗装としました。

 マーキングは、実物を参考に、セントルイス造兵廠から出荷された通常弾(BALL)としています。

 サイズについては、前回の反省から、アーモボックスを4つ入れて、両側板もはまるように、横幅を15ミリ拡大して、実物と同じサイズとしています。来週末に北軽井沢で開催されるMVGのリビングヒストリーエリアで、機関銃と一緒にお披露目したいと思っています。