Australian Armour & Artillery Museum Report #2

オーストラリア・ケアンズにある「Australian Armour & Artillery Museum」のレポートその2です。今回は米英豪軍の戦車・装甲車のコレクションのうち、撮影したもの(=個人的に好きな車両だけ)をご紹介します。

 冒頭の写真は、米英豪の連合国側が装備したM3スチュアート軽戦車。主砲は37ミリ。館内にあるドイツの38(t)戦車(すみません、写真ありません)もそうですが、今では見ることのない小口径砲を装備しているのが時代を感じさせます。


 倅が指をさして「あ~これウチにあるやつと同じだ!」……日本だと「シーッ、静かにしなさい!」とたしなめるのですが、ここはオーストラリアで館内は閑散としていますから一安心です…。倅「あっ、大砲の横に飛び出してるやつもウチのと同じやつ!」……。やはり空冷式30口径機関銃の放熱筒は特徴的なので子供にも分かるようです。砲塔上部の30口径機関銃クレイドルは、水冷式M1917機関銃の地上用三脚架に使うものと同じ型式ですね。

 こちらはM3グラント中戦車。主砲・副砲の二門を装備して、車高も高くて、若干、古くさいデザインですね。手前にあるケースには主砲・副砲の砲弾が展示されています。


 この戦車、てっきり戦間期に開発されたものと思いきや、第二次大戦の勃発に応じて米国で機甲部隊の拡充計画が持ち上がったときの主力戦車として開発されたそうです。多くはイギリスに供与され、米軍の参戦後もM4シャーマン戦車のつなぎ役として活躍したそうです。なお、残念ながらM4シャーマン戦車は博物館のコレクションにはないようです。

 イギリスのモーリスC8。“クォード・ガン・トラクター”という愛称のあるタイヤ式の大砲牽引車です。これも好きなデザインの車両です。民生トラックを改修して四輪駆動・装甲を施したもので、この展示のように25ポンド砲に弾薬車を連ねたカルガモ走行をしている当時の写真がよく見かけます。ただ、エンジンが3.5リッター4気筒エンジン、出力70馬力、タイヤというのもあり、不整地でのこのような運行は厳しかったのではないでしょうか。

 米軍のLVT(Landing Vehicle Track)、上陸攻撃につかう水陸両用車です。現在の水陸両用装甲車の原型になったモデルですね。初期型で砲塔のないタイプ。HBOのテレビシリーズ「パシフィック(原題:The Pacific)」でも、ペリリュー島の上陸作戦を描いた回で、搭載機銃を射撃しながらブルーオーションを進み、砂浜に乗り上げた後に主人公らが降車する(落ちる?落とされる?)様子が印象的です。


 主人公の一人、ユージン・スレッジの著書『ペリリュー・沖縄戦記』では、LVTが当時兵隊たちの間で“アムトラック”と呼ばれていたこと、ペリリュー島上陸戦の直前に揚陸艦内で乗車するLVTを見て、後部ハッチのない初期型に乗り込むことを知って憂鬱な気分になったこと(=側舷を乗り越えて降車しなくてはならない)が記されています。

 こちらは博物館の駐車場に展示してある戦車。なにも掲示板がなかったので、どこのいつの時代の戦車か分かりません。う~ん、屋外展示するならば、オーストラリアの戦車だと思うのですが…。マーキングは豪軍の白・赤・白でなくてペルーの国旗のようだし…。ご存知の方、ご教示いただけますと幸いです。


 館内にはこの他にも第二次大戦当時の車両として、ソ連のT-34戦車や英豪軍のユニバーサル・キャリア(ブレンガン・キャリア)、米軍の装輪式グレイハウンド装甲車などもあったと思います。ドイツ軍は前述のように38(t)戦車以外にケッテンクラート、88ミリ砲などがありました。他にハーケンクロイツのマーキングがある突撃砲や装甲車もありましたが、これらはレプリカという表記があったと記憶しています。


 次のレポ#3では、日本軍の大砲コレクション(といっても五門だけですが…)をご紹介します。

本文中にご紹介したHBOのテレビシリーズ「The Pacific」はアマゾンプライムビデオにラインナップされています。プライム会員であれば無料でご覧いただけます(2019年3月14日現在)。年会費も手頃ですので、この機会にぜひ。

ユージン・スレッジ著『ペリリュー・沖縄戦記』。「The Pacific」の原作にもなった書です。ドラマでは登場人物(特に親友)がだいぶデフォルメされていることがわかります。また、ドラマのなかでの兵士たちの所作の理由がよくわかるので、まだお読みでない方はご一読をオススメします。

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